ヒゲづらの警官が高圧的な物言いで注意する。
しかし、洋装の美少女は、どこ吹く風で、身軽にロープを飛び越えた。
少女の胸元でキラリと光るペンダント。
振り返ると、警官に微笑んだ。
「わたくしは布袋安寿(ほてい・あんじゅ)。
わたくしに意見するということは、
このペンダントに意見すると受け取ってよろしいのですね?」
「何だと?」
食い入るように見つめるヒゲづら男の目に映ったものは、
燦然と輝く菊花の紋章。
「うっ・・・そ、それは」
言葉を失う警官。
安寿は踵を返し、優雅な足取りで殺人現場に向かう。
時代(とき)は明治。
文明開化の波が日本を飲み込もうとしていた。
「思い出したぞ。
布袋・・・安寿・・・天皇陛下の暗殺を未然に防いだ少女・・・」
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